Kindleの売り方の不思議(あるいは、電子ブック端末の正しい売り方)
Kindleの売り方の不思議(あるいは、電子ブック端末の正しい売り方)
Kindleの売り方は普通とちょっと違ってる。普通は端末価格を安くしてコンテンツの販売等で利益を得るわけだけど(ゲーム機とか携帯電話とか)、Kindleは端末販売で利益を出してコンテンツを赤字で販売している――らしい。
普通に考えたらKindleの販売方法は破綻している――だってどこかで端末の販売数は飽和するはずだし、コンテンツ販売が順調になればなるほどマイナスになるわけだから――のに、どうしてそんな売り方をしてるんだろうか。
端末の普及に注力するのであれば、端末価格を安くしてコンテンツで回収するほうがいいんじゃないか――たとえば端末を3万円で売るのではなく、5千円とか1万円で売るのが王道ではないのかな?
そういう方法を選ばずにAmazonはなぜKindleをそんな売り方をしているのか、きちんとした考察を見たことがないのだけれど*1、そんな破綻した売り方をしてるのか不思議に思ってる人は少ないんでしょうかね。
仮に3万円の端末の利益が6千円として、1部販売するごとに300円の損失になるのだとしたら、
Kindle的な売り方:
部数 損益 1部 +6000円 10部 +3000円 20部 ±0円 50部 -9000円 (以降、損失が増える)
――というなるはずです。にも関わらずKindleを売ってAmazonが儲けているのであれば、やっぱり電子ブックは全然売れていないんじゃないのかな。そういや「Kindleの販売が100万台を突破した」とかいうけど、「電子ブックが2000万部を越えた」なんて話はでてないよね?*2
そんな破綻した売り方するくらいなら、3万円の端末買ったら2万円のクーポンを付けて実質1万円とかで売ってもいいじゃん、って気がします。
仮に3万円の端末の利益が6千円として、コンテンツの売上の3割が利益になるとした場合、
2万円のクーポンを付けた場合:
売上 損益 0円 +6000円 1万円 -1000円 2万円 -8000円 5万円 +1000円 (以降、利益が増える)
――ってな感じになりますから、5万円以上売れると思っているならクーポンを付けたほうがいいはずなんですよ。
本気で普及を目指すなら本体価格と同等のクーポンを付ければいいと思いますし。先日書いた記事に対して
b:id:bn2islander [本][ビジネス] 確かに「電子ブックを買うお金で紙の本が何冊買えるのか」を考えるとkindleやiPadに手を出す気はなくなるんだよね。電子ブック端末が三万円だとすると、三万円分のコンテンツは内蔵されて然るべきだと思う [2010/02/02]
――というコメントがあって、「そうだよなぁ」と思いましたし。
それにクーポンがあるなら「電子ブックを買ってみよう」というインセンティブにもなるでしょうから、「端末は売れたけどコンテンツが売れない」とはなりにくいでしょうしね*3。
個人的にはクーポンによる販促を行ったほうが絶対にいいと思っているのですが、Kindleではそうしなかった理由がずっと気になってます*4。