電子ブックはどうやって値段を決めるつもりなんだろう?
電子ブックはどうやって値段を決めるつもりなんだろう?
現状では(特に買う方は)紙媒体の書籍に対して高い/安いという判断をしているように見えるけど、基準になる紙媒体がなかったら果たしてその判断はできるのだろうか――ということが気になってます。
紙媒体での価格の決め方
まずは紙媒体の値段の決め方について。
最初に本の内容と予算があって(いわゆる企画があって)、その内容から部数を予測し、その想定部数と予算から値段が決められていることが多いとのこと。
(具体的なお話はこちらにあります)
で、その値段に見合った見栄えにするために判型・装丁(およびページ数)を選んでいるわけです。これは見た目や質感がしょぼいと(買う側が)値段に納得できないからですね。
(装丁に関するお話はこちら)
また逆に、判型や装丁にあわせて「値段の相場」がだいたい決まっています。なので、値段を確認せずに会計に行っても大抵は予想通りの価格になっていると思います。
そんなわけで「紙媒体だから高い」のではなく、値段にあわせて形を変えているのが現状です。実際、安くしようと思ったら文庫として売ることもできますしね。
じゃあ電子ブックはどうするの?
さて、電子ブックの値段です。
紙媒体と同様に内容と予算と販売予測で決めるなら、紙媒体とほとんど同じ価格になります*1(当然ですね)。
このとき電子ブックでは判型や装丁など、見た目や質感で差別化することができません。だとしたらどうやって値段を正当化できるのか、果たしてそれで購入者は納得できるのか――という点を疑問に思っています。
実際「紙媒体でなくなれば安くなるはず」と根拠もなく思い込んでいる人が多いみたいですしね。
そもそも買う人はどれくらい値段に敏感なのか
先ほども書いたように紙媒体ではおおよそ値段は決まっていますが、その価格帯を外れなければ値段を気にしていないようにも思えます。
たとえば新書判のコミックスの相場はだいたい約400円で約190ページなのですが、ものによっては約160ページだったりしてるのにそれを問題視してる人は少ないようです。つまり「新書判のコミックス=400円程度」という先入観があって、それ以上のことは誰も気にしていないように見えます。
あるいはB6判のコミックスは約500円で約190ページくらいものが多いですが、値段が高い(600円くらいする)のもあればページ数が少ない(160ページくらいの)ものもあり、それを気にしている人も少ないようです。これは「B6判のコミックスは500円~600円程度」という先入観があるためでしょう。
これが新書判で500円だったり*2、B6判で700円を越えてたりすると「高い!」と思う人も多いんじゃないでしょうか。あるいはB6判で400円台だったりすると「あれ、安い?」と思ったりね。
だとすれば「電子ブックは安い」という先入観に合わせて「安くて分量が少ない」モノを出せば気にせず買うんじゃないのかなーって気はします*3。とはいえ、任天堂の岩田社長が言うように安売りするのは筋が悪い気がしていますけれど。
そもそも同じ漫画作品なのに新書判とB6判(とA5判等々)で値段が違っていることに違和感を感じている人はほとんどいないわけですよ。
そう考えるとやっぱり人は紙の体積(=パッケージメディア)にお金を払っているのであってそれ以上ではないのかなー、なんて気もしますけどね。
(そういやDVDのパッケージがトールケースになったのは「CDより高いから」とか聞いたことがあったなぁ。本当かどうかは知らないけど)