Googleブックサーチと検印と初版部数という投資、そして出版社のエージェント化

Googleブックサーチと検印と初版部数という投資、そして出版社のエージェント化

 Googleブックサーチに対して著者が反発している理由の1つは「正当な報酬が支払われるのか?」とか「自分の著作物を不当に安く販売しているのではないか?」といったGoogleに対する不信なんじゃないかな。

 出版社だって昔は信用されていなかったから検印があったわけでしょうし、今でも版権グッズにはシールがついてたりするわけで。そういう意味ではGoogleは信用を築く行為を全くしてないわけですから、「連中は信用できん」ってのはまっとうな反応のような気はします。

 出版社側の反発は今のところあまり聞こえて来ないけれど(気づいてないだけかもしれないけど)、雑誌に掲載する原稿料だったり初版部数の印税っていうのは要するにその書籍に対する出版社の投資なわけで(だって売れなくても支払われるわけだから、投資の一種でしょ? 著者にしてもそれをあてにしてるわけだし)、その投資をせずにオイシイとこだけ持っていかれるのは相当むかつく行為なんじゃないかな?

(だから「絶版として扱われる条件」が気になっているんだろう、とは思う)

 もしそういう理由があるのなら、そのあたりをぶっちゃければ出版社を支持する人々も多いと思うのだけれども。

 もっとも、一部の出版社の動きを見ていると――小学館が著者に「Googleとの契約をどうするか」的なことを確認したらしい話を見かけたので*1――出版社は著者のエージェント的な役割を強化するつもりなのかもしれません。小学館(を筆頭にする一ツ橋系)については小学館集英社プロダクションという版権管理会社がありますし、Googleとの交渉についてもビズメディア(VIZ Media)がありますから、そこら辺が著者のエージェントとしていろいろ行動するような気がしますし。

 交渉が面倒だと思う著者は出版社にお任せできるし、出版社は著者との関係を強化できるので悪くない話だと思います。「出版社には任せられん」とか考える著者は――例えばダイナミック・プロあたりは自分たちで権利処理をするでしょうから、それはそれで問題ないでしょうしね。