そろそろJコミについて語っておくか
そろそろJコミについて語っておくか
明日からβ2が始まるので、その前に。
とはいえ、現状のJコミにはあまり興味がなくて――というのも、現状は赤松さんが集めた作品で展開しているからで、それは想像の範囲内ですから――β2の後でどんな作家さんが集まってどんな作品が提供されるのか、それらがどのように公開されていくのか、実際の閲覧・ダウンロード数がどれくらいになるのかが分かる半年後や1年後にどうなってるかというあたりに興味があるため、今は特に語ることがないのですけれど。
ただまあ、現状の『ラブひな』のダウンロード数は正直に言えば結構残念だと思ってるんですよ。
だってあれだけウェブ媒体で取り上げられてて、しかもアニメ化された作品が無料で公開されてるのに、1巻が50万ダウンロードに満たなくて*1、一番ダウンロード数が少ない9巻では15万ダウンロードに満たないわけですよ*2。
単巻15万なら立派な数のような気もしますけれど、『ラブひな』は元々単巻50万部以上売れてたと思いますし*3、現在連載中の『ネギま!』も単巻30万部以上売れてると思いますので*4、それを考えるとちょっともの足りない気もするんですね。
だって無料でこの程度なのだとしたら、電子書籍を(普通に)販売しても上記部数よりは見込めない可能性が高いわけじゃないですか。もちろん「過去の作品の価値はそんなもの」という判断もありますけれど、それでもあれだけあちこちで告知がされたメジャータイトルでも「これくらい」だったのは残念といいますか*5。
その意味ではマイナーなタイトルが並ぶβ2の推移も多少は気になりますけどね。意外に健闘するのか、それともやっぱりよりダウンロードされないのか。新條まゆ先生はネット有名人ではあるので、期待できるとは思うのですけれど。
――という感じで、今後もJコミの動向は気にしていきたいなと思っております。
そうそう、「クリック保証型なので、規定数に達するまでは作品を引っ込めることができない」という話がありましたが、「規定数を超えた時に追加で作者にお金が支払われるの?」って点が気になってます*6。
まあそのへんについてはβ2の時に説明されそうですけれど。
追記(2011-01-17)
本日時点での『放課後ウエディング』のダウンロード数は28,401*7。10弱%がクリックしたとして2,500クリック程度*8でしょうか。以前は1クリック30円で計算してましたので、だとすると7万5千円(~12万円?)くらい。
想定からすると少ない気もしますが、どうなんでしょう。
ちなみに僕は読切かどうかは関係ない――というより、場合によっては読切のほうがダウンロード・閲覧数が増えるかもと思っていたくらいなので――と思っていたので、この程度しかダウンロード・閲覧されてないと今後の展開が厳しそうな気がしています。
(それにしても有料でも沢山の人に読まれている漫画雑誌はつくづく優秀な媒体だと思います、ほんと)
b:id:ks1234_1234 [電子書籍] んーフリーペーパーにも廃刊はあるしなあ。フリーペーパーの部数実績って、どっかに資料あるかしら。[2011/01/10]
フリーペーパーの配布数は(雑誌の部数と同様に)広告用の資料として公表されてたはずです。
どこかで見かけた気もするのですが。。。
b:id:ageha0 [サクヒンビジネス, マンガ] 過去作DLは基本ロングテイルだと思。五十嵐浩一さんの『ペリカンロード』とかそおゆう、リアルタイムでもマイナーだったんだけど好きな人はずっと覚えてる系。絶版と著作権切れの間で埋もれてるのを換金 [2011/01/11]
このへんどういう感じで権利者に支払われるのか謎なのですが(例えば千クリック単位で支払われるのか?とか)、いずれにしても「あまりお金にはなりそうにないなあ」というのが現状での印象です。
権利者さんが「お金にならなくても読んでもらいたい」のであれば、Jコミはよいプラットフォームになるかもしれませんけれど。
(それでも現状の電子書籍の売れ行きからすると、Jコミのほうがマシな可能性もありますけど。いずれにしてもお金にはならないっぽい感じに見えます)
b:id:mohno [浅倉卓司, Jコミ, 電子書籍, ビジネス] 「作家さんが集まってどんな作品が提供されるのか」←売れた作品じゃなく、育てるプラットフォームになれるかどうか。「無料でこの程度なのだとしたら、電子書籍を(普通に)販売しても上記部数よりは見込めない」 [2011/01/13]
「育てるプラットフォーム」というよりは、「リサイクルセンター」になれるかどうかのような気がしています。増刷見込みのなくなった作品でも置かせてもらえばちょっとはお金になるし、何かの切っ掛けでアクセス急増した時に出版社に売り込みやすくなる――みたいな感じで。
ただまあ、現状だとJコミ読者が相当に少ない印象なので、ちょっと厳しいかなと。毎週数作品がリリースされるようになって、定期的にアクセスする人が相当に増えれば状況も変わるかもしれませんけれど。
追記(2011-01-25)
『放課後ウエディング』の結果が発表されたのでコメントを。
52万5千円とのことで、30円/クリックだとすると最低クリック数は17,500になります。
22日の時点でダウンロード数:36,056+ビューワー閲覧数:23,466でしたので、合計は約6万。広告3カ所のクリック率が全て約10%であれば18,000クリックになりますから、まあそれくらいなのかもしれません。
(邪推をすると、なかなか最低クリック数に達しなかったために発表が遅れたんじゃないのかな? って気もします)
今回は読切作品でページ数が少なく、52万だと原稿料と同じくらいになるので*9「まあまあよさげ」に見えるけど、連載作品でも同程度の価格だとするとそんなに良い金額ではないように見えます。
(この点については本日公開の『交通事故鑑定人・環倫一郎』の結果発表の時に分かるでしょう)
もちろんそれでも収入がないよりはいいですし、そもそも電子書籍は全然売れないらしいので電子書籍の印税よりいい可能性が高いんじゃないのかな。
ちなみに僕が気にしていた
そうそう、「クリック保証型なので、規定数に達するまでは作品を引っ込めることができない」という話がありましたが、「規定数を超えた時に追加で作者にお金が支払われるの?」って点が気になってます。
――という点については、僕が
現状の書き方を見ると規定数を超えても特にお金は払われないようにも読めますので。
――と推測したとおり、追加の収入はないとのこと。
(雑誌の掲載料(原稿料)と同じだと考えるのがいいのかもしれない)
ただし「Google様と提携した新型マンガビューワー3」利用分については追加で支払われるみたいなので、そちらは印税のような感じの収入になるのかもしれません――そして電子書籍の売れ行きの悪さからすると、電子書籍の印税よりは期待できる可能性もありそうです。
参加する作家さんにオススメなのは、とりあえず読切作品を全部登録する(してもらう)ってあたりじゃないでしょうか。特に少年漫画の読切は滅多に単行本にならないため出版社のほうでもNGを出さない(出しにくい)でしょうし、希少価値も高いので読まれる可能性も高そうです*10。
(担当編集と険悪にならなければ大昔の原稿を保存してもらえたり、原案が別にいる作品の処理について対応してくれるわけですし――ちなみにこの方は過去の読切を同人誌としてまとめる予定だそうです)
*1:現時点で458,952ダウンロード。
*2:現時点で136,644ダウンロード。それにしてもなんで少ないのが9巻なんだろう……。最初の頃は12巻あたりが少なかったのだけれど。
*3:全14巻で発行部数は1000万部だったとか。
*4:もっと売れてた気もする。過去の日記を探せばどこかで書いてたはずだけど、調べてません……。
*5:電子書籍販売が難しいのは、そもそも告知が難しいからだと思いますし。
*6:現状の書き方を見ると規定数を超えても特にお金は払われないようにも読めますので。
*7:ビューワー閲覧数は20,671。
*8:ビュワー側も含めて4,000クリック程度?
*9:裏を返すと、出版社は普通にこれくらい払ってるわけです。
*10:また、ウェブで読むには読切程度の長さのほうが読みやすい気がしています。