電子ブック関連の雑感(2010年8月期)

電子ブック関連の雑感(2010年8月期)

 今月は既に本田さんにツッコミを入れてます

絶版より復刊

 「絶版堂」について色々語りたい人はその前に復刊ドットコムについて確認するべきだし、電子版を望むなら復刊ドットコムの人に「なぜ電子版をやらないのか」を聞いてみればいいのにね、とか思った。

 電子版をやらないのは「需要がないから*1」だったような気がするので(未確認)、「電子版で復刊希望!」とかしてみるといいんじゃないかな。投票する人が多ければ電子版で復刊するかもしれないよ。

電子書籍とウェブの違い、再び

 「電子書籍についての私的考察メモ」を読んで、「やっぱモニタで長文読むのはつらいなー」と思ったのですが、つらい理由が2つあった。

 1つは「発光体で文字を読むのがつらい」点。iPadよりKindleなりNookなりSony Reader*2なりがよいと思うのはそこだ、とポメラユーザーとしては思います*3

 もう1つは「スクロースする媒体は、中断したあとで再開するのがつらい」点。これは「ページネーション大事」って話なんだろうけど、この辺は詳しくないのですよね。。。

 その記事中に僕がちょっと前に気にしてた電子書籍とWebテキストの違い」という項目があったので、ちょっとコメントしてみる。

» ・パッケージングされている

→ コンテンツがスタンドアロンで独立している。ブログやTwitterなどのようにソーシャルではない。

 この点については僕も同じ事を書いた。

» ・有料である

→ 無料であってもフリーではなく「ゼロ円の商品」として流通されている(ように見える)。

 僕はこの点は重要ではない気がしている。そもそもpdfはフリーで流通してるじゃないですか。

» ・提供されるコンテンツの種類

→ 日記や散文ではなく、小説やルポ、ハウトゥガイドなど。コンテンツとして完結しているもの。

 「完結している=パッケージ」だと思うので、これは最初の「パッケージ」の繰り返しに過ぎない気がします。

» ・コンテンツのボリューム

→ 文字数にして最低でも数万文字以上。ページ数では100ページ以上あたりか。それよりも多い分には問題ないが、少ない場合「書籍」としての認知はしにくくなる。

 これも「パッケージ」の問題じゃないのかな。

 ただ、「紙媒体」なら束の厚さで価値を判断できるけど*4、電子媒体はどうやって価値判断をするのか、ってのはいつも疑問に思ってる。

 ……あ、この場合の「価値」は「価格」とほぼ同義ね。前にも書いたけど、紙媒体は基本的に装丁・判型・束で値段(=価値)がだいたい決まってるのですよ。

» ・縦書き、明朝体などの組版

→ 書籍のメタファーとしては有効だが、ケータイ小説などの成功を見ると、普通の人はそれほどこだわりや意識していないのかもしれない。送り手(出版側)が考えるよりも、禁則や組版に対する一般人の要求は低いところで成立することがある。

 僕は大変気になるので軽視して欲しくないのですが、普通の人があまり気にしてないってのはその通りかもしれません。ただ、売りモノにする場合(=お金を出して買う時)は気にされるんじゃないのかな、って気もします。

 あと、個人的には縦書きのほうが長文を読む時は快適です。横書きの文章は断片化してないと読めないというか(ネットの文章とか技術系の文章は長文としては読まないし)。

 これは個人の経験の差だけなんでしょうかね。

» ・手に持ってどこでも読めるデバイス

→ ハードウェア毎の特性が違うため、出版時にどのデバイスを選択するのかが重要。また互換性や保存性の問題もある。

インターフェイスやガジェットとしての快適性。これについては後にもう少し詳しく考える。

 デバイスインターフェイスは「出版時」ではなく「販売(購入)時」に選択できるようになっていればいいんじゃないですかね。

(だからこそ中間フォーマットがどうの、という話をしてるんだと思ってた)

» ・ページングされていること

→ スクロールではなく、表示が1枚ずつページ切り換えしていくこと。また、ウインドウ内でページ全体が最後まで見渡せること。実はこのあたりが一番重要かもしれない。

 さっきも書きましたが、これは結構重要な気がします。

 この記事では「電子書籍の本質」を「文字の検索や選択コピーが可能なこと」と書かれていますが、それすら「本質」ではないですよね。だって写真集や漫画にそんなのいらないじゃないですか。

(「文字が主体である本」のみを「書籍」と定義しているのかもしれませんが)

 僕は以前も書いたように「電子書籍の本質」は「同一のインターフェイスで各パッケージを読める事」じゃないのかなと疑っているのですけどね。

(なので、アプリによる電子書籍販売は時代の徒花だと思ってますし、現状の電子書籍が不快なのはインターフェイスがバラバラな点にあると思ってます)

 「リキッドは不要では?」という話で「老眼対策ならデバイスを大きくすればいいじゃん」と書かれてて、なるほどその通りだなと思いました。うん、リキッドはいらんかもね。

 ただ、だからといって紙媒体向けの版面をそのまま使うのは止めて欲しいと思うのですよ。今後のデバイスでの表示が見開きを基準にするなら問題ないのですが、おそらく単ページ表示が標準になるでしょ?*5 だとすれば現在のように左右ページでレイアウトが違う=ページをめくるたびに交互にレイアウトが変わるのは不快ですから。それくらいは調整して欲しいところであります。

追記(2010-09-09)

b:id:ks1234_1234 [出版, 電子書籍, ガジェット] 「手に持ってどこでも読めるデバイス」 わたしは読書メイン通勤時の文庫読みなんですわ。それに勝てる媒体はまだないと思う。といいながら、Kindle使ったことないですが。▼全部がデジタルである必要はない、と。 [2010/09/04]

 確かに。文庫や新書はコンパクトでいいんですよね。

 A6判~B6判くらいならいい感じじゃないかと思うのですが(普段持ち歩いている本と同じサイズなので)、今の電子ペーパーだと解像度が足りなくてちょっとつらそうです。新しいKindleでも日本語を表示するには14pt以上でないとダメみたいですしね。

 ……そういや14ptで指定した時にKindleで表示される大きさはどれくらいなんだろ。本当に14ptだとかなり大きいと思うのですが。

b:id:worris [ebook, interface, id_asakura-t] やっぱりページング必要なのかな。インターフェースは触ってみないと何とも言えん。だから→「デバイスインターフェイスは「出版時」ではなく「販売(購入時)」に選択できるようになっていればいい」 [2010/09/04]

 多分スクロールよりはページングのほうが快適じゃないかと予想しています(その理由を書きました)。

 ちなみに僕は自由原理主義者じゃないので、あるデバイス用に買った電子書籍が多のデバイスで読めなくても仕方ないと思っています――というか、せめて規格で画面比を固定*6しないとどうしようもない気がするんですけどね。最近はなんとなく「電子書籍はB6判を基準にしたPDFで統一」でも充分な気がしてます。それなら文庫サイズやハードカバーサイズに縮小・拡大しても問題なく読めそうですし。

*1:より正確には、需要にあわせて価格を決めると高値になり、その値段で購入してくれないから。

*2:どうでもいいが、もっといい名前にはしないんかね? 少なくとも日本で売る時は別の名前にして欲しい。

*3:いや、ほんとにポメラで文章書くのはなかなか快適なのですよ。「ビュワー機能載せて」という人を度々見かける程度には見やすいです。

*4:実際には紙の厚さによってページ数が変わったり、組版によって文字数は変わってるのだけれど、気にしてる人はあんまりいないよね。

*5:個人的には畳むことで画面を保護できるという点でも見開きが標準になって欲しいのですが、コスト的に無理そうですしねぇ。

*6:というか、1:√2の比率のみにしとけばいいじゃん。