電子書籍にまつわる与太話

電子書籍にまつわる与太話

 「ケータイのエロ漫画の売上ってどれくらいよ?」と思っていたわけですが、とりあえずケータイ漫画の売上がどれくらいかはなんとなく分かりました。

ただし、金額的には日本の電子書籍市場のほうが大きく、約464億円('08年度、インプレスR&D調べ)となっている。

 その大半は携帯電話向けのマンガ配信によるもので、全体の7割を占める。no title

 さすがに根拠なく「7割」とか書いていないだろうから*1、ケータイ漫画は324.8億円程度。ケータイ電子書籍の売上は402億円なので、77.2億円が漫画以外の売上になる。

(そういや写真集みたいなのが売れてるとか噂があったけど、どこで見たんだっけなぁ)

 ちなみにPC向けは62億円で、近年は減少気味とのこと。

 そうそう、よく比較される音楽配信ですが、最新の情報によると、

  • 配信は909億円(うちPCは100億円程度?)
  • CDは2,460億円

――だそうで(個人的にはレンタルの売上も一緒に並べて欲しいところですけれど)。

 出版と比べてみると、

  • 10年前のCDの売上は漫画より大きかったけれど、今は漫画の半分以下*2
  • 配信は音楽が出版の2倍くらい。ケータイ/PCの比率もほぼ同じくらい?*3
  • 音楽の配信はCDの36%程度(ケータイのみだと32%程度?)。ケータイ漫画の配信は紙媒体の6.5%程度(PCの売上が全て漫画だとして7.7%程度)。

――らしい。

 つまり、出版社(漫画出版社)から見た場合、現状は配信分の売上が伸びているってのが音楽配信と違うところなわけです。以前に比べて出版社が慎重ながらも配信に積極的なのは、ケータイでの成功が大きいんじゃないかな? と思っています。

 それに対して「紙媒体がなくなる!」とか主張すれば出版社のやる気が失せるのは当然なわけで、電子ブック配信を望んでいる人がそんなことを言うのは間抜けだなと思います*4。出版社にやる気を出させるには「ケータイ同様に新しい市場ができるよ!」と言うべきでしょう。

 そういえば「電子ブックはいろんなことができるよ」というマルチメディアとかニューメディアの時に聞いたような事を言う人がいますが、過去を振り返っても流行りそうな気が全くしないのですが。そろそろそんなモノは求められてないってことを学習して欲しい。

 それから「それはウェブでよくね?」とツッコミたくなるような電子ブックを求めている方々がいますけれど、そういうのは出版社じゃなくてウェブでそういうのを作っているトコに主張すべきでしょう。というか、なんで出版社にだけ電子出版を求めるのかな? ウェブ系の会社が出版事業に進出する足がかりとして電子出版を期待するのが筋だと思うのだけれど。そういう主張はほとんど見かけないという。

(「既得権益脳の恐怖」とでも言うべきかな。なんでもかんでも「既得権益」を基準にしか考えられない恐ろしい病)

 「紙媒体がなくなるよ!」と主張してる方々は未だにCDが配信の2倍以上売上があるのはどう思っているんだろうか。ついでにゲームや映像のパッケージと配信がどれくらい売れてるのか(映像はレンタルの売上も調べるべき)、あるいは最も配信と相性がよさそうなPCソフトのパッケージと配信の売上比率がどれくらいなのか、是非とも調べたうえで主張して欲しいものです。

(普通に考えれば再生機器が不要な紙媒体が最後まで残るはずですしね)

*1:根拠なかったらどうしよう。

*2:漫画はやや増加してたはず。

*3:出版のほうがややPC率が高い

*4陰謀論からすれば「紙媒体がなくなる!」と声高に叫んでいる人は、出版社が電子ブックの配信に積極的になって欲しくない人に違いありません。