フリー雑感

フリー雑感

 山師といえばマーク・アンドリーセンは

新聞、雑誌などの印刷メディアについてのアンドリーセンの長年の持論は印刷版を完全に廃止して全面的にウェブに乗り換えろというものだ。Marc Andreessen、旧メディアにアドバイス―「生き残りたければ船を焼いて退路を絶て」 | TechCrunch Japan

――ってなことを言っているみたいだけど、実際に収益を上げているのも価値(価格)を決めてるのも紙媒体なのだから、紙媒体を止めるのは愚の骨頂だと思うんだけどな。

 少なくとも日本では無料のウェブを再編集して紙媒体にすることで価値を創造し、収益に繋げているわけですし。この点ではクリス・アンダーソンの語る「フリー」に近いのは日本モデルでしょう。

 ――というか、『FREE』で語られていることの多くは既に日本で実現しているような気がするのだけれど。アメリカにはないんでしょうかね?>ウェブ本

 ところで、フリー(無料)になって喜ばれるのは既に価値があると確定しているもの――例えば有料なものや有名人が作ったものなど――であって、最初から無料で無名なものは基本的に見向きされませんよね。

 『FREE』が注目されたのは「本当は有料である」はずの書籍が無料化されたからでしょうし、『クラウド時代と<クール革命>』が無料で公開されて注目されるのは「角川歴彦」という著名人がやるからでしょう。

 あるいは『生命保険のからくり』を書籍としてリリースしたのもそれで価値を高める意図があったでしょうし、価値が上がったあとで無料で公開したから注目されたわけです。

 無料で無名なものに価値を与えるのが得意なのはマスメディアなのだと思うけれど、直接的に価値(=価格)あるものにするのが得意なのは出版社だと思ってます。他のメディアだと知名度を上げることはできるけれど、直接有料で販売できているのは出版(の書籍)くらいのような気がしますしね。

 内容面でも読みやすく(理解しやすく)するために

坪田 今回の岩瀬さんのチャレンジは、一つのテーマについて書き込む、新書というパッケージがあってのことですね。そうなると、あらためて本とは何なのかという話になります。岩瀬さんも、この本を読むと落語で言う枕のような話を最初に書いて、それから個別の話を書いています。読者がシーケンシャルに読むことを前提とした作りにしています。そのストーリーを作るテクニックがないと本にはならないのですが、執筆に当たってはそのあたりは意識しましたか。

岩瀬 いいえ、そこまでは考えていません。ただ、これだけの量の文章を読んでもらうための媒体が、本しかなかったのです。本以外の媒体がすでにあれば検討したと思います。工夫した点があるとすれば、保険の話だけ書いても面白くないだろうから、エピソードを交えたくらいです。no title

――のように、編集者が「ストーリーを作るテクニック」を教えることで価値を創造しているわけですし。