『アーキテクチャの生態系』の簡素な感想

アーキテクチャの生態系』の簡素な感想

 ようやく通して読んだけど、やはり2000年以降のネットの状況を俯瞰してるいい本ですね。

 不満があるとすれば、

  • はてなブックマーク(の生態系)について書かれていない
  • pixivについて書かれていない(が、執筆の時点を考えると仕方ないかも)

――の2点。

 はてなブックマークについては2ちゃんねるとは別に「ネットイナゴ」と呼ばれるようになった社会的側面や、あるいはソーシャルブックマークというアーキテクチャから語られていると良かったように思います。

 もっとも、ネット上の存在としては大きくないから外したのかもしれないけれど。ネタとしては面白そうなんで、補完する意味で誰か書かないかな?

 pixivはタイミング的には無理だったかもしれないけど、コンテンツ生成型の生態系という意味では興味深いので、どこかでフォローして欲しいところ。

 ニコニコ動画2ちゃんねる)とは違っているし*1、ブログとも違う。

 今後は自分のホームページ(あるいはブログ)を持たずに、pixivタイプのコンテンツポータルと呼ばれるサイトに投稿することが主流になる可能性もあるんじゃないかなと思ってるんですよ*2

 小説なら「ケータイ小説」がポータル的に存在してるけど、PC向けとしてショートショートを集めたポータルが作られる可能性もあるんじゃないかな、とか*3。あるいは4コマ漫画ポータルとか*4

 話は変わって。

 アーキテクチャという点でははてな発の「はてなスター/スターフレンド」あたりが興味深いです。

 これはもっと評価されるべきと思ってるんだけど、はてな自身もうまく活用できていないので評価されないのも仕方ないよなー、とか思ってたりもするのですが。

 一応はてな側も活用しようとはしているらしく新ブックマークで使われてたりするので*5、この調子でもっとちゃんと活用していくのを期待してます。

 とりあえずの希望としてははてなダイアリーの(ユーザーidでの)コメントにもスターを付けられればいいなぁ、とかね。

 はてなスターあるいはスターフレンドを意識することで書き込みの内容が質的に変化する――というのがアーキテクチャによる緩やかな制約になるでしょう。はてなハイクはスターを得ようとする人々の書き込みで全体的な雰囲気が形作られてると思うし。

 スターフレンドは緩い形での価値観の共有になるのかな。そういったフレンドの動向をなんとなくウォッチできるってのは良い方向性でしょう*6。他にもフレンドの動向をちまちまとなんとなくウォッチできる把握できる仕組みがあるといいんじゃないかな。

 mixiほど重くない感じというか。フレンドは有効期限があるので(確か)、切れるとウォッチできない/されない(はずだ)ってのもポイントが高いかと。趣味が変われば新しいフレンドができたり、昔のフレンドとは疎遠になるものですし。

 「日本的」とされていた繋がりの社会性の新しい形になる可能性もあると思ってたりもするのですよ*7

 似た価値観で固まるとたこつぼ化の促進と揶揄される可能性はあるだろうけど、まあ、それはそれで。

*12ch的な画像サイトとしては「ふたば」があるし。

*2:なのでpixivの動向はちょっと気になってます。例によって2~3年で流行りが終わるかもしれないし。

*3COCOさんの「異形の群れ」とかあるけど、こういうのは1カ所に集まってたほうがいいと思うんだ。

*4「んでもって」の4コマも面白いけど、他のいろんな人のコマ漫画も読みたい、とかね。

*5:現在のスターは主にブックマークとハイクで使われているので正しい方策かと。

*6:ブックマークやハイクでそれなりに機能してるっぽいし。ただ、ハイクはわざわざインポートする必要があるので、そこは改善して欲しいけど。

*7:その意味でいかにも日本的なサービスだし、普及する可能性もあると思うのですが。