ロングテイル論の2つの要素

ロングテイル論の2つの要素

 梅田さんの説明を読んでもやっぱり微妙に違和感が残ったので、ちょっと理由を考えてみた。

 ロングテイル論の要点が

マクロに見たときに、「マスの集積」よりも「ニッチの集積」のほうが市場が大きく、ネット事業ではリアル世界とのコスト構造の違いから、その「ニッチの集積」を効率よく追求可能になった、ということを論じているものだ。

だとしたとき、これを数式であらわすと

1. 市場の大きさが\int_0^n f(x)dxから\int_0^m f(x)dxになって、\int_n^m f(x)dxの分増えた(ただし、n < m)

2. \int_0^n f(x)dx  <  \int_n^m f(x)dxである

ということになると思う。

 1.は『「ニッチの集積」を効率よく追求可能になった』ことを示し、それがnからmへの増分です。これについて異論はありません。

 2.は『「マスの集積」よりも「ニッチの集積」のほうが市場が大き』いことを示しますが、僕はここがおかしいと思っているのです。ここの証明も読んだことがないですしね*1

 というわけで、僕はロングテイル論の「ニッチを集積することが可能になった」ことについては認めるしその価値も分かる。これは要するに\int_n^m f(x)dxが市場として成り立つくらいには大きいって話でしょう。

 でも「ニッチの集積がマスの集積よりも大きい」のは本当なの? と思っているのです。どうもここはマーケティング的な煽り、つまり僕が「うさんくさく」感じる部分になります。

続く

*1:否定する証明はできそうだけど、数学はすっかり忘れてるんでそこを思い出さないとなんとも……。