僕はブログやtwitterは雑誌のコラム*1を追いかける感覚で読んでいます。雑誌のコラムを読んでても「繋がってる」とは思わないわけで、同様にブログやtwitterを読んでても「繋がってる」とは思わないわけです*2

 ――なんてことを「知らない人と繋がるネットサービスはもういらないんじゃないだろうか」を読んでてちょっと思ったりしました*3

 僕が他人と「繋がってる」という感覚があるのは「他人から自分への反応」があった時くらいかなと思うのだけど、それはパソ通時代や匿名掲示板の頃とあまり変わっている感じがしていない、というのが実感としてあります。

 パソ通だって(匿名)掲示板だってちゃんと反応あったしね。というか僕の場合はブログやtwitterで何か書くよりもパソ通時代や掲示板のほうが反応があった印象があるし。

 「繋がりを求める」=「反応がほしい」という欲求はまあ分からなくもないです。僕はそういう欲求は少ないほうだと思うけれど、ネットで反応が欲しくて暴れている(ように見える)人はしばしば見かけますし。

 ただ、それが本当に一般的な欲求なの? という疑問はあって、本当に「反応がほしい」人が沢山いるのならもっと暴れん坊を見かける頻度が多くなりそうな気がするんですよね。暴れん坊は目立つから「反応がほしい」=「繋がりを求める」人が多く見えてるだけなんじゃないのかな、と思ったりもするのです。

 「ソーシャルなんとか」と呼ばれるものが過去の(パソ通を含めた)ネットと違っていた点があるとすれば、「場」より「個人」が主体になったことかな、という気がします。昔のネットは「場」がありきで、だからこそ場のルールが優先されていました。

2ちゃんねるは意外と作法にうるさい

 「継続的な人格を持たずに、ソーシャルメディア的なことができる場所」について、2ちゃんねるがあるという指摘があったけど、2ちゃんねるというか、掲示板というのは書き込む時に流れを読まないといけないとか、結構窮屈な部分もあるので、そういう縛りが薄いニコニコ動画を挙げた。ただし、ニコニコ動画は縛りが薄い代わりにできることも少ない。

 2ちゃんねるは書き込んでいい文章のスタイルも既に規定されている。長文を書き込むと場違いなどと言われてしまう。長文を匿名で書いて、読んでもらえる場所というのは今までなかったからこそ、はてなが運営する匿名ダイアリーは盛り上がった。匿名で好きなことを好きなスタイルで書こうとしても、各サービスごとにいろいろな縛りがある訳で、こうして分散する。 匿名のネットサービスは意外と表現のスタイルが限定される―「知らない人と繋がるネットサービスはもういらないんじゃないだろうか」補足:ARTIFACT ―人工事実―

――というのはまさにそれで、「半年ROMれ」というのも要するに「場のルールを理解しろ」というものです。

 それが「ソーシャルなんとか」が流行ってからは「場」ではなく「個人」ありきになったように感じます*4。ただし正しくは個人というよりは「有名人(タレント)」が「場」より優先(優遇)されるようになった、という事だと思いますけれど*5

 そう考えるとソーシャルなんとか=有名人追っかけツールで目新しいのは出ないんじゃないかなあ、とも思いました。

 ちなみに僕は「個人(有名人)」を中心としたモノを「ソーシャル(社会)」と呼ばれてるのがあまり腑に落ちてなくて、まだしも昔のパソ通とか匿名掲示板のほうが「社会」っぽいよなあと思ってます――「場」のルールを理解しろってのはまさに「社会」のような気がしますしね。

 そんな感じで「場」か「個人」のどっちかが優先されるサービスがほとんどだと思ってるのですが、「はてな」のサービスは(一部だけな気はするけど)割と両方がバランスよく扱われているような気がしてます。

 少なくとも一部で「はてな村」と言われる程度には「場」として認知されてますし、一方ではてなid(+アイコン)で「個人」をそれなりに認識できてますし。

 例えばブックマークを付けてるとお気に入りに入れてなくても「よく見かける人(id)」がいて、なんとなくその人の言動が分かるわけです。その距離感がなんとなく「学校のクラスメイト」くらいの距離感の「なんとなく知ってる人」っぽい感覚があって、個人的には気に入ってます。「お気に入り」に入れてる人は付き合いが濃くなって「クラスメイト」よりは「同じ部活・クラブの人」みたいな印象になりますけど*6

 そんな感じで「はてな」みたいに「学校のクラスメイト」くらいに場が機能してて個人を認識できるサービスは意外にないなあと感じてますので*7、そういうサービスをもうちょっと増やしていって欲しいと思ってます*8

*1:あるいはテレビのタレントやラジオのパーソナリティー

*2:それとも一般的には雑誌のコラムを読んでても「繋がってる」と思うんだろうか。

*3:「繋がる」サービスの例としてブログやtwitterがあったので。

*4:そういや誰かが「個人の時代」と言ってたもんなあ。あれは誰だっけ?

*5:僕がブログを読んだりtwitterでフォローしてたのは「有名人(タレント)」のためだったし。

*6twitterではあまりそう感じないので、その違いは気になってる。

*7:あるなら教えて欲しいです。使うので。

*8:流行る前のサービスは人口密度が低いので場と個人のバランスがよいのかもしれない、という気もしています。その意味で「はてなブックマーク」は人口密度が高い割にはバランスがとれてる印象があります。