集団知のお話。

集団知のお話。

 naoyaさん連載を見たら、集団知のお話なのに何故かCass Sunsteinさんの記事(lessigさんのブログのゲストだけど)は読まれていないらしい。もったいない。

 d:id:naoyaさんは記事中で

 つまり、Wisdom of Crowdsが形成されるためにはいくつかの条件があるようです。書籍によるとその条件とは、以下のようになります。

  • 個が互いに独立していること
  • 個が分散していること
  • 個が多様であること
  • 個を集約する優れた仕組みがあること

――と書かれていますが、実は、それだけだと集団知にはならないのですね。

 理由はこちら

http://blog.japan.cnet.com/lessig/archives/002223.html

に書かれているとおり。

 大ざっぱにまとめると「集団知らしきものは確かにあるけど、でもその知が正しいためには平均したときに正しい側である必要があるよね」というツマラナイ結論だったりします。個々の正しさの平均が0.5を切ると「確実に間違った」知になるというのは間違いない。

 だから集団知から正しいモノを導き出すには、

  • 正しさの平均が0.5を切らない程度の、難しくない問題にのみ使う (Googleなんかはコレですね)
  • 正しさの平均が0.5を越える集団を選ぶ (はてなブックマークをグループ対応して欲しい理由がコレ)

など、利用する時にちょっとした工夫が必要になるのですが、残念ながら記事ではその点には触れていないのですよね。

 こんな書き方じゃ「多数決で決めたことは絶対に正しい」っていう、誤った民主主義的な勘違いをする人が出てくるんじゃないかと、ちょっと心配です。

追記

 確かに論文をちゃんと読んでいたりはしないです。すみません。

 集団知がいろいろあることは、いちおう認識しています。上記について書いたときは「カスケードの問題も書かなくちゃ」と思っていましたし(Googleとかはてなブックマークはカスケードが起こりやすい気がします)、元記事を読み返すとそっちにツッコミを入れたほうが良かった気がします。

 ――んー、確かに「正しさの平均が0.5」という物言いには問題がありますね。「独立して解決に当たった場合の成功率=平均正答率が0.5に及ばない場合」を意味する意図はなかったから。

(「直感に反しないコトが正しい場合」とかにしたほうがまだ意図は伝わった気がする)

 いやそれよりも

 こんな書き方じゃ「多数決で決めたことは絶対に正しい」っていう、誤った民主主義的な勘違いをする人が出てくるんじゃないかと、ちょっと心配です。

に対してツッコミがないほうが不思議。ここは蛇足にもほどがあります。

 それはそれとして。

 「個が独立/分散」していることが要件としてあげられているますが、完全に「独立/分散」しているということはありえないし*1、「完全な多様」なんてこともないわけで。

 それをうまいこと解決するのが「優れた仕組み」であろうとは思いますが。「優れた仕組み」であっても万能ではないよ、「正しい答え」を得るためには時と場合に応じて手法を変えなくちゃ駄目よ、という話がしたかっただけなのでした。

*1ネットワーク集団知の場合は特にね。その特性上カスケードが起こりやすいし。