われわれは作業生体ではない、人間だ。

われわれは作業生体ではない、人間だ。

ITPro読者コメントにある「どんなに難しいプロジェクトでも,『成功して当たり前』とみなされる。失敗したら,すぐにマイナス評価が下される。」というのがこの状況を如実に表していると思います。PMが報われる世の中になってほしい

 これはプロジェクト・マネージャだけじゃなく、場合によってはSEやプログラマーもこういう扱いをされていると思います。

 プログラマーの場合は『バグが無くて当たり前』ですかね。だからこそテストが軽視されるんですね。そしてろくなテストもせずにリリースするハメになり、それにより起こった問題は全てプログラマーが対処させられるわけですよ。そしてそれによる超過勤務に対しての手当ては当然のように出ないしね。

 まあ何れにしろ「うまくいって当たり前」と思っている方々(経営者だったり依頼人だったり立場は様々ですが)と話していると、どうもこちらのことを人間じゃなくて作業生体だと思っているんじゃないか、と感じる時もあります。都合のいいときは人をスーパーマンか何かのように扱うし、それに対して必要なコストを要求するとヒトとしては扱ってくれないしね。

 ITProの記事中にある、

「提案時からかかわって計画を立てられるならまだしも,予算/スケジュールなどの肝心な部分が営業的な観点だけで決められた後に,よろしくと言われる。話を聞いてみると,どう考えても無理なプロジェクト。『それを何とかするのがプロマネ』と言われても,我々は手品師でも魔法使いでもない。失敗したときに,『責任を取れ』と言われるのも心外だ」(ベンダー勤務,40代,プロマネ職)

ってのは、正にそういったことでしょう。

 もっとも、こうなってしまったのは「無理を通して道理をひっこむ」ように尽力してしまった過去のプロジェクト・マネージャーとかプログラマーのせいのように思われます。そしてそれを見ていた人々は無理を通すための過大な努力あるいは能力を評価せずに、それが当たり前だと思ってしまった。それで努力/能力のデフレ・スパイラルが起こってしまったんじゃないでしょうか。

 まあだから僕は無茶な要求をしてきたら「無理です」と言うようにしてますし、問題が起こりそうな時はそれを指摘するだけにとどめて*1、気を利かせて問題に対処するなんてことは絶対にしないようにしています*2。こちらがいくら気を利かせたところで相手は理解してくれないのですから、そんなことをしたってしょうがないのですしね。

 「問題が起こる」→「それに対処する」というプロセスを踏まないと、相手は「問題の存在」を理解できないのですから。それを理解してもらうためには、馬鹿馬鹿しいと思っても「問題が起こるのを放置」するしかないのです。

 これを繰り返えせば、そのうちこちらの言うことを真摯に受け止めてもらえるようになります。もちろんその前に仕事がなくなることもありますが、無茶な要求をする人々と仕事をするくらいなら、仕事がないほうがマシです。

*1:もちろん相手が対応にともなうコストを支払うなら対応します。

*2:問題が起こってから対処しやすいように準備はしておきますけどね。その時でも「対処は相当にコストがかかる」という演出は忘れません。