2004-08-11

ケインズ「一般理論」ダイジェストを読んだ感想

 まあ、とりあえず簡単に。

・日本の高度成長期はほぼ「完全雇用」が実現されていた。

 よって、「古典派」の理論が成り立つ(はずだ)。

・しかし、1990年代後半から完全雇用が成り立たなくなってきた。

 よって、「一般理論」に書かれていることが起こる。

(事実、起こっているように感じる)

完全雇用が成り立っていないときは、

 ・利率を下げる

 ・(金持ちに対する)課税を強化する

累進課税を強化する)

――ことにより投資が増えるようにすべきだ。

 投資が増えれば雇用も増える。

――らしい。

 つまり政策としては「金利は上げず、累進課税を強化する」べきなんだね。

(ついでに「消費税は引き下げるべき」だ)

 でも、政治への影響力の高い「金持ち」は「累進課税の強化」を反対するわけで。

 なるほどこれで「日本の景気が良くなった」と感じているのが「一部の金持ちだけ」というのは、論理的に説明できる(気がする)。

 ついでに、

18. でも、過剰投資って何? そこがあいまいだと意味がない。失業があるので有効利用されない資本への投資ってことなの、それとも完全雇用のもとでも余るほどの資本への投資なの? 本当の意味での過剰投資は後者だけだ。ケインズ『雇用と利子とお金の一般理論』要約、22 章

――とのこと。

 後者が起こったのが「日本の1980年代のバブル」という極めてまれな現象だった。

 それ以外のほとんどの場合は「前者」なのである(らしい)。

追記

 ケインズは「所得再分配」を唱えている(ように見える)。

 実際、日本の景気が良かったころは累進課税が大きく、消費税は無かった。

 バブルが弾けて景気が回復しなくなったのは、累進課税を減らし、消費税を導入した以降ではないのか?

 それで利得があったのは、一部の金持ち(もちろんその法案を作った高級官僚も含む)だけだったと思われる。

 なので、「累進課税を昔並みに、消費税率を引き下げる」というのは、経済政策としては有効なんじゃないのかな。もっとも、「消費税引き下げ」はともかく「累進課税を大きくする」なんて話を聞かないのは、経済アナリスト(エコノミスト)と称する人々や、あるいはそれらを宣伝するマスコミの方々も「お金持ち」だから言わないんだと思うんだけどね。